市販で売っているエキパイに自分の理想的な太さや取り回しのものがないなぁと思っていませんか?
欲しいものが無いなら作ってみよう!ということで、今回は題名のとおりエキパイの製作を解説します。
溶接機はTigを使いましたが、結局のところ家庭用100V半自動溶接機にフラックス入りワイヤーを使っても問題なく作れるという感想です。
材料はSTKM11a 機械構造用炭素鋼鋼管というホームセンターなどでは手に入りづらいパイプなので、パイプ屋さんから直接買いました。
パイプ自体は外径50.8㎜、厚みは1.6㎜の物を使用します。

パイプに矢印が書いてありますが、基準線はこれだよ。と自分で分かるように書いてあります。
大手メーカーだと手曲げ(パイプの中に専用の砂を詰めてバーナーで炙りながら曲げていく手法)が有名ですが、めちゃくちゃ難しいです。
ハンドルで挑戦しましたが、手曲げでエキパイを作るのは至難の業だと判断したのでカットしたパーツを繋げて理想の形を作ることにしました。

2mあればいいかと思ったのに定尺5.5mしか手に入らなかったので、扱いやすいように1mぐらいで2本切り出します。
切り出したパイプを繋げていくためには基準となる線が必要になるので0°と180°の位置でパイプの端から端まで線を引きます。
この線を基準にして組み付けていくので消えないようにしっかり書きましょう。

パイプを挟む板の両方の端にマスキングテープを貼って、パイプの半径の位置にマジックで線を引いておきます。
ちょっと見え難いかもしれませんが写真の左側のマスキングテープに黒色の線が書いてあるのが見えますよね。
外径50.8㎜のパイプなので下から25.4㎜(0.4はだいたいです)の高さに記してます。
パイプを角度切りするのに180°交互に回転させて切って扇形にするのでマスキングテープの目印とパイプの基準線は必須です。

角度は片側7.5°で両方合わせて15°になるようにしました。
7.5°で切った理由は直角三角形の辺の計算で、あれこれすると出るんですがcosθとか全然分からないので計算してくれるサイトでやってもらいました…
7.5°でパイプをカットすると、パイプの断面の長さが51.2㎜になります。
斜め切りの断面51.2㎜とパイプの外径50.8㎜で差は0.4㎜。
片側0.2㎜しかズレがでないから接続部分のズレは全くと言っていいぐらい気になりません。
角度も3つで45°、6つで90°と角度が分かりやすいので組みやすいです。
このパーツを繋げるとパイプを曲げたように出来て、カットの幅を変えてやれば大きく曲げたり小さく曲げたりが出来ます。
切断面のバリ取りとペーパーがけが大変ですが、Tig溶接では接合部がピッタリになっているかどうかが仕上がりの綺麗さを左右するので時間をかけてしっかりやります。
あとは取り回しを決めながら仮付けして溶接していくので、ここまでがエキパイ製作の要と言えます。
私はこの扇状に切った物をとりあえず23個切り出しました。

車両に合わせてエビ管と直管にマスキングテープをペタペタ貼り付けて、取り回し位置を確認します。

使わないつもりだった純正エキパイはこの部分だけ使うことにしました。

100V溶接機で仮付け。
ブレーキレバーとのクリアランスがかなり狭いですが一応いい感じになってます。

と思ったらエキパイが外を向いてる…
また外して仮付け部分をグラインダーで削ってまたエキパイを固定して確認して…

ようやく真っ直ぐになりました。
写真がさっきのやつより暗いのは時間がかかって夕方になっちゃったから…
この後は半自動の仮付けを極力擦り落としてTigで本溶接していきます。
納得の出来る取り回しで仮付けができたので本溶接をするために翌朝ドラッグスターにくくりつけて輸送。

折れました。
念の為ダンボールでグルグル巻きにしてたんですが、後ろからカンカン音がすると思ったら折れてました…
とりあえず分割してそのまま輸送。
これ以上外れませんように。

本溶接すると歪みも出たりするので固定しながら溶接しました。
車体に取り付けた状態で要所要所やれると時間も掛からなくて済むんですけどね。
輸送中に仮付けが外れてしまいましたが、仮付けが終わった時に一応全てのパーツに合いマークを付けておいたので問題なく元に戻すことが出来ました。
本当は溶接部分がそのままでも見れるように綺麗にTig溶接するつもりでしたが、やっぱり100V溶接機のフラックス入りワイヤーが悪さをして綺麗に擦り落としてもほんの少し残ったやつのおかげで溶接がボソボソになってしまい結局グラインダーでスムージングするはめに。
溶接自体はTigじゃないとダメということはないのでスムージングする前提なら、時間はかかりますが100Vの家庭用溶接機でもじゅうぶんだと思います。
今回はアップスイープなのでマフラーから雨水が入り込んでも排出されるように1番底になる部分に水抜きの為の穴を開けてナットを溶接。足の短いボルトに小さい穴を開けて、そこから排出できるようにしました
あとはエキパイを支える為にエキパイの後方にボルトを溶接してあるので、車体に取り付けてからステーを作ってエキパイは完成です。
塗装はもちろん耐熱塗料を使いましょう。
こんな感じでエキパイの製作をしました。
パイプを切るための機械や溶接をするということが難しいところですが、エキパイを作ったことがない素人でもこんなことが出来るんだなぁぐらいに思ってもらえればと思いますw