グラストラッカービッグボーイのドライブスプロケット交換!15丁→16丁で快適クルージングを実現

カスタム

今回は、グラストラッカービッグボーイのドライブスプロケット交換に挑戦!

純正の15丁から16丁へと変更することで、高速走行時のエンジンの負担を減らし、より快適なクルージングを目指します。

ギア比(最終減速比)を変えることで走行性能がどう変わるのか、そして自分で交換する方法を写真付きで分かりやすく解説していきます。

本記事では以降、ドライブスプロケットをフロントスプロケット、ドリブンスプロケット(後輪側)をリヤスプロケットと書きます。

なぜスプロケット交換が必要か?

スプロケット交換が必要な理由は、主に以下の2つ考えられます。

メンテナンスとしてのスプロケット交換

スプロケットは、エンジンからの動力をチェーンを介して後輪に伝える部品です。走行距離が増えてくるとチェーンとの摩擦によりギヤの歯が摩耗し、チェーンとの噛み合いが悪くなったり、走行中の異音の原因になったりします。そのため、定期的なメンテナンスとしてスプロケット交換が必要です。

カスタムとしてのスプロケット交換

スプロケットの歯数(丁数)を変えることで、加速力重視や最高速重視にするなど、バイクの特性を変化させる、カスタムとしてのスプロケット交換です。

丁数を増やす(今回のように15丁→16丁)と、高速寄りのギア比になります。

メリットとして、高速巡航時のエンジン回転数が下がり、振動低減、静粛性向上、ロングツーリングが楽になります。また、走行条件によっては燃費向上が見込める可能性もあります。一方、デメリットとして加速力が若干鈍る可能性があります。

逆に丁数を減らすと加速寄りのギア比になります。

メリットは、加速力がアップし街乗りでの取り回しが楽になる一方、デメリットとして高速巡航時のエンジン回転数が上がるため、燃費悪化や振動の増加が考えられます。

このようにフロントスプロケットの交換は、愛車のメンテナンスとしても、カスタムとしての効果もある作業です。

このギヤ比については、記事の最後に私の愛車であるドラッグスター250とグラストラッカービッグボーイを比較して詳しく解説します。

用意するもの

交換部品

  • 新しいフロントスプロケット(今回は16丁)
  • ロックワッシャ

使用する工具類

  • 7mmソケットレンチ
  • 12mmメガネレンチ
  • 12mmスパナ
  • 17mmメガネレンチ
  • 19mmラチェットレンチ
  • 30mmソケットレンチ
  • ラジオペンチ
  • マイナスドライバー(貫通型がベスト)
  • ハンマー
  • タガネ
  • グリス
  • パーツクリーナー
  • ブラシ
  • ウエス
  • 手袋

あると便利なもの

  • マーキングペン
  • ジャッキ
  • 30mmレンチに使うジョイント

作業手順

それでは、実際のスプロケット交換手順を見ていきましょう。

1. スプロケットカバーの取り外し

まずはフロントスプロケットカバーを取り外します。

ジャッキアップは必要ありません。

カバーの上下と中間に合計3つの固定ボルトがあるので、7mmのソケットレンチを使用して外します。

この車両はレストアが終わったばかりで走行距離も少ないため、スプロケット周りの汚れはそれほどひどくありませんでした。

. ロックワッシャの立ち上げとナットの緩め方

起こされたロックワッシャ

フロントスプロケットを固定するナットを緩めるには、ロックワッシャの折り曲げられた部分が邪魔になるため、マイナスドライバーを使用して写真のように立ち上げましょう。

私はトルクレンチを所有していないため、締め付ける目安としてマーキングペンでシャフトとナットに合いマークを書きました。

30mmソケットレンチを使用してナットを外しますが、かなり固く締まっているためリヤタイヤが接地した状態でリヤブレーキを踏み込んだまま緩めてください。

この際、トルクレンチをお持ちであれば、戻しトルク法(検査対象を少し緩めて、その時のトルク値を読み取る)を利用して締め付けトルクを確認できます。

. チェーンの緩め方

スプロケットを取り外すためにはチェーンを緩める必要があります。

ジャッキを使用してリヤタイヤをリフトアップします。

今回はチェーンが新品同様なので交換しませんが、スプロケットを新品に交換するときは、チェーンとの当たりもあるので、両方とも新品に交換するのもおすすめです。

チェーンを緩めるためにリヤアクスルシャフトを緩めます。

チェーン側は17mmメガネレンチ、反対のドラムブレーキ側は19mmラチェットレンチを使用しました。

次にアジャスタボルトを緩めましょう。

緩めるだけなのでボルトの頭を固定する必要はありません。ナットを12mmメガネレンチかラチェットを使用して緩めます。

アジャスタボルトをある程度緩めたら、アジャスタボルトが下を向くように下げて、タイヤをフロント方向へ押してやるとチェーンが写真のように緩みます。

4. スプロケットの取り外しと清掃

リヤタイヤを最大までフロント側へ押してあれば、特に無理せずチェーンとスプロケットをシャフトから抜くことができるはずです。

スプロケットを外したら、周囲の掃除もしておくと良いでしょう。

特にドライブシャフトのカラー奥にあるオイルシールからオイル漏れがないか、この機会に目視で確認しておくのがおすすめです。

5. 新しいスプロケットの取り付け

次に、新しいスプロケットの歯とドライブシャフトにグリスを少量塗ってから、抜く時の逆の要領でチェーンをギヤにセットしてからドライブシャフトに差し込みます。

スプロケットは刻印がある面が外側、ロックワッシャは平面が内側になるように取り付けます

この状態ではまだナットを本締めできないので、手で仮締めする程度で大丈夫です。

6. チェーンの張り調整

次にチェーンの張り直しですが、フロントスプロケットがほんの少し大きくなっているため、今までと同じ位置にはならないので注意しながら調整してください。

チェーンの張りはフロントスプロケットとリヤスプロケットの中間で確認します。

私の愛車はリジットになっているので、1cm持ち上がるぐらいの張りです。

7. ナットの本締めとロックワッシャの折り曲げ

ジャッキを下げてリヤタイヤを接地させたら、ナットを緩めた時のようにリヤブレーキを踏み込んだまま30mmソケットレンチで締め込んでください。

*後日調べたところ、このナットの締め付けトルクは100N.mでした。

ロックワッシャを曲げるにはラジオペンチで外側に折り曲げた後で、タガネとハンマーを使ってナットが緩まない程度までさらに叩き曲げます。素材が柔らかいので、無理に力を入れる必要はありません。

念の為、対角も折り曲げておきました。

最後にスプロケットカバーを戻して完成!

一見難しそうに見えるかもしれませんが、適切な工具があれば初心者の方でも挑戦できる作業です。

ぜひ挑戦してみてください!

バイクのギヤ比とは?基礎知識を解説

それでは、ここから本記事のもう1つのテーマであるギヤ比に関する詳細な解説を始めましょう。

ギヤ比って何?

ギヤ比は、エンジン内にあって変更が困難なギヤの歯数比で決まる1次減速比と、フロントスプロケットとリヤプロケットの歯数比で決まる2次減速比で決まります。

例えばドラッグスター400のようなシャフトドライブの車種では、シャフトドライブ内のギヤ比が2次減速比となります。

それでは私が所有するバイク、それぞれのモデルのスペックを比較してみましょう。

2011年式 ヤマハ ドラッグスター250

・1次減速比:3.130

 ・2次減速比:2.800

 変速比:

・1速: 2.642

・2速: 1.684

・3速: 1.260

・4速: 1.000

・5速: 0.821

2006年式 スズキ グラストラッカービッグボーイ

・1次減速比:3.238

・2次減速比:2.866 

変速比:

・1速: 2.636

・2速: 1.687

・3速: 1.200

 ・4速: 0.952

 ・5速: 0.818

最終減速比について

バイクの最終的な減速比は、1次減速比 × 2次減速比で算出されます。これがエンジンの回転数を後輪に伝える際の総合的な減速比となり、加速性能や巡航時の回転数に影響を与えます。

・ドラッグスター250: 3.130 × 2.800 = 8.764

 ・グラストラッカービッグボーイ: 3.238 × 2.866 = 9.270

最終減速比を見ると、グラストラッカービッグボーイの方が数値が大きく、同じ速度で走行した場合、ドラッグスター250よりもエンジン回転数が高くなる傾向があると考えられます。

スプロケット丁数変更の注意点

メリット

・高速巡航時のエンジン回転数が下がり、振動が軽減され、疲労の軽減に繋がる可能性があります。

・燃費が向上する可能性があります。

デメリット

 ・加速性能が若干低下する可能性があります。特に発進時や坂道でのトルク感が薄れることがあります。

 ・極端な変更は、ギアチェンジのタイミングをずらし、かえって運転しづらくなる可能性があります。

推奨される変更

まずは、フロントスプロケットを1丁増やす(15丁から16丁へ)ことを試してみるのが比較的穏当な変更と言えるでしょう。リヤスプロケットの丁数を減らすよりも、一般的に交換作業が容易な場合が多いです。

この変更により、最終減速比が小さくなり、同じ速度でのエンジン回転数がわずかに下がるため、燃費の改善が期待できます。もしこれで十分な効果が得られない場合は、リヤスプロケットの丁数を1~2丁減らすことも検討できますが、加速性能の変化をより強く感じる可能性があります。

一般的に、フロントスプロケットの1丁変更は、リヤスプロケットの約3丁変更に相当すると言われています。

例)

リヤ43丁 ÷ フロント15丁 = 2.866 から最終減速比を小さくします。
リヤ43丁 ÷ フロント16丁 = 2.687 フロントをプラス1丁
リヤ40丁 ÷ フロント15丁 = 2.666 リヤをマイナス3丁

重要な考慮事項

車両の状態:エンジンやキャブレター(またはインジェクション)の状態が適切に整備されていることが、バイクの性能を最大限に引き出す上で不可欠です。

走行条件:街乗り中心か、高速道路での長距離走行が多いかなど、走行条件によって最適なセッティングは異なります。

個人の好み:加速感を重視するのか、燃費を重視するのかによって、最適なスプロケットの丁数は異なります。

スプロケットの丁数を変更する際は、少しずつ試し、ご自身の走行スタイルや好みに合ったセッティングを見つけることをお勧めします。また、スプロケットの変更に伴い、チェーンの長さ調整が必要になる場合がありますのでご注意ください。

最終的なスプロケットの丁数は、これらの要素を総合的に考慮して判断してください。もし不安な場合は、バイクショップに相談することをお勧めします。

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