チョッパースタイル・ローダウン車必見!キャブオーバーフロー原因とフロート液面調整の全手順

メンテナンス

はじめに:なぜ、愛車で数滴のガソリン漏れが発生するのか?

以前なかなか直らないオーバーフローを修理した際、ガソリンの液面レベルはキャブレター本体とフロートチャンバーの繋ぎ目に合わせていました。

それ以降、本格的なオーバーフローは発生していませんが、通勤やツーリング後の停車時に、ドレンホースからガソリンが1滴ほど落ちているのを発見しました。

そのため、今回はさらに厳密な液面レベルの調整を行います。

走行後に発生する「数滴のオーバーフロー」の謎

今回のオーバーフローは、長期間放置したことによるものではなく、走行後に発生しています(もちろん、走行中にも起きている可能性はあります)。

この結果から、走行中にフロートチャンバー内でガソリンの液面が「暴れる」ことで、わずかに漏れていると推測されます。しかし、液面が暴れるのはどのバイクでも同じであり、もし新車でこのような不具合があっては困りますよね。

では、なぜ愛車のグラストラッカーで、この現象が起きているのでしょうか?

チョッパースタイルこそがオーバーフローの原因

その原因は、リヤをローダウンさせ、フロントフォークを伸ばした「チョッパースタイル」にありました。

チョッパースタイルにすると、車体の角度が変わり、エンジンが「前上がり」になります。その結果、エンジンに取り付けられたキャブレターの角度も変わり、ガソリン液面が後方に傾斜します。

この傾斜により、液面が通常より「上昇」した状態となり、ドレン管の上端にガソリンが届きやすくなっていると考えられます。

フロート液面レベル調整が重要である理由

液面レベルが高いとオーバーフローしやすいという点だけが問題ではありません。

エンジン始動時や走行中は、外気が*「ベンチュリー」を通る時に発生する負圧により、フロートチャンバー内のガソリンを吸い上げます。

その結果、ガソリンは霧状になってエンジンへと送られるのですが、液面レベルが高いとわずかな負圧でもガソリンが吸い上がりやすく、ガソリンの濃い混合気(燃費悪化、カブリの原因)になります。

逆に液面レベルが低いと、強い負圧でなければガソリンが吸い上がらず、ガソリンが薄い混合気(パワー不足、エンジンへの負担の原因)になってしまうのです。

* ベンチュリー: キャブレター内部の空気の流路が最も狭くなっている部分。空気の流速が上がり、負圧が発生します。

【作業手順】フロート液面レベル調整マニュアル

事前準備とキャブレターの取り外し

まず、キャブレターに繋がっているアクセルワイヤーとガソリンホースを取り外します。

アクセルワイヤーの取り外し

通常、負圧式キャブレターにはアクセルワイヤーが2本繋がっています。それぞれアジャスターを調整し、ワイヤーの先端にあるタイコをキャブレターから外してください。

フロートチャンバー内のガソリンの抜き取り

ドレンにホースを接続し、ドレンスクリューを緩めてフロートチャンバー内のガソリンを排出します。

ドレンから出てきたガソリンに水や異物が混ざってないか確認するため、私はガラス瓶でガソリンを受けています。

ガソリンの状態を目視で確認しやすくなり便利ですよ。

しばらくすると、フロートチャンバー内のガソリンは排出されます。

ただし、燃料コックからキャブレターまでの間のガソリンは大気圧の関係で排出されません。

しかし、まれに漏れてくる場合があるため、私はこの区間のガソリンも全て抜き取るようにしています。

ホースを指で摘み、ポンプの要領で中のガソリンを押し出してください。

全てのガソリンが抜けたらホースを外します。

キャブレター固定バンドを緩める

キャブレターを固定しているバンド(インシュレーターバンド)は、完全に緩めてください。

キャブレターは多少抜きづらいですが、取り外すとインマニ(インテークマニホールド)の内部が確認できます。

通常でも少し濡れていますが、今回は混合気が濃い影響か、ガソリンが溜まっていました。

フロートチャンバーの分解と内部確認

フロートチャンバーの固定ボルト4本を取り外しましょう。

ワンポイント: フロートチャンバーのボルト交換

純正ではプラスネジが使われていますが、私は整備性を高めるためにキャップボルトを使用しています。

キャブレターを取り外さなくてもフロートチャンバーを開けやすくなります。

フロートの取り外しと調整板の確認

フロートはプラスネジでシャフトを固定して取り付けられています。

ネジを外し、フロートを取り出す際に、シャフトや一緒についてくるフロートバルブを落として紛失しないように注意してください。

液面レベルの測定と調整(フロート調整板)

シャフトとフロートバルブを外し、調整板の現在の位置を確認します。

写真のように基準位置を決め、ノギスで測定したところ、調整前は1mmでした。

液面を下げるためには調整板を上げる必要があるため、マイナスドライバーなどで調整板を押してノギスでの測定を繰り返しながら、希望の液面レベルになる位置に曲げます。

今回はエンジンの角度に合わせて少し大袈裟に曲げました。

調整前1mm → 調整後1.45mm

数値としてはわずか0.45mmの差ですが、キャブレター内では大きな変化となります。

最終調整とまとめ: 液面レベル調整後の注意点

液面調整が完了した後は、ジェット類の再セッティングが必須です。

走行を繰り返しながらセッティングを行い、愛車に合ったベストな状態を見つけてください。

キャブレターのセッティングについては、こちらの関連記事もぜひ参考にしてください。

コメント

error: Content is protected !!