はじめに
キャブレター燃調をする為にまずは部品の名前を知っておきましょう!
燃調な為に調整する部品は
- メインジェット
- パイロット(スロー)ジェット
- ジェットニードル
- パイロット(エア)スクリュー
この部品名と取り付けられた場所は覚えてくださいね。
あとは燃調には関係ありませんが、アイドルストップスクリューもあります。
まずキャブレターの底を見るとパイロットスクリューが見えます。
パイロットスクリューとエアスクリューは全く別物なので注意してください。
パイロットスクリューは混合気の量を調整する物で、エアスクリューはガソリンと空気の混合比を調整する物です。
調整ネジがエンジン側にあるのはパイロットスクリューで、エアクリーナー側にあるのはエアスクリューです。

赤矢印=パイロットスクリュー
青矢印=アイドルストップスクリュー
黄色矢印のボルトを外すと中のジェット類にアクセスできます。
このボルトはプラスネジになっていることがほとんどですが、キャブレターが車体に取り付けられたままでは外しにくいので、わたしはいつもキャップボルトに交換しています。
これだけのことで整備性は爆上がりです!


赤丸=メインジェット
青丸=パイロット(スロー)ジェット
パイロットジェットとスロージェットは同じ物で、メーカーによって呼び方が違うだけです。以下パイロットジェットと呼びます。
メインジェットはジェットホルダーに取り付けられているので付け外す時は共回りしないようにメガネレンチなどでホルダーを固定しながら行います。

これはジェットニードル。
ジェットニードルはキャブレターの上の蓋を外すとアクセスできますが、

中にバネが入っているので飛ばさないように注意してください。

このバネを抜くとダイヤフラムの中にジェットニードルがストッパーで固定されてます。

ジェットニードルを外すには、ダイヤフラムごとキャブレターから取り出して柔らかい布などニードルが傷つかない物で先端をグイッと押してやるとストッパーごと抜けます。
部品が飛んでいってしまわないように出口を手でふさいでおくのを忘れずに。
各部品の役割
各パーツにはそれぞれアクセルの開度に対して作用する領域があります。
まず全閉付近(アイドリング状態から開度4分の1ぐらい)をパイロットジェットとパイロットスクリューが担当します。
開度4分の1から2分の1付近までをジェットニードルが担当しますが、基本的にはニードルに取り付けられたクリップの位置の調整になります。

最後にアクセル開度2分の1から全開までをメインジェットが担当します。
セッティング方法
セッティングを出す為にはメインジェットとパイロットジェットは番手の交換をします。
ほとんどの場合メインジェットは頭部分に、パイロットジェットは側面にかなり小さく番手が刻印されてます。
ジェットニードルにも番手は存在していて交換も出来るんですが、そこまでやるのはレースに出るとか上級者向けのセッティングになってくるので基本的にはクリップの位置を上げたり下げたりするぐらいです。
燃調とは
キャブレターの燃調(燃料調整)とは、エンジンに供給される燃料と空気の比率を調整することを指します。
キャブレターは内部で燃料と空気を混ぜ合わせ、エンジンに最適な混合気を供給する役割を果たしていて、燃調を適切に行うことで、エンジンの性能を最大限引き出すことが出来ます。
しかし、なんとなくで調整するぐらいなら触らない方がいいでしょう。
なぜなら燃調をしたことで混合気が薄くなりエンジンに悪影響を与えて、最悪エンジンが壊れることもあるからです。
混合気は薄くても濃くてもエンジンのパワーを引き出せません。
キャブレターの燃調は調整の繰り返しなので慎重に行う必要があります。
燃調開始
STEP1.エンジンを暖機する
まずはエンジンをかけて暖機しましょう。エンジンが冷えている時と温まっている時とでは燃調が結構変わります。
STEP2.パイロットスクリューで調整する
暖機が十分出来たらパイロットスクリューを回して混合気の量を調整していきます。
パイロットスクリューを締めると混合気が少なくなり緩めると多くなります。
パイロットスクリューの調整は全閉から何回転戻したか?が重要で、まず全閉からゆっくり緩めていくとだんだんアイドリングが早くなっていくのがわかりますよね。
そこからどんどん緩めてもアイドリングは変わらなくなるので、全閉に近い戻し量でアイドリングが最も早くなる(安定する)ところを探しましょう。
たとえば1回転と2分の1戻しとか、1回転と8分の5戻しといった感じになります。
STEP3.パイロットジェットの番手交換
パイロットスクリューでアイドリングが安定したのは何回転戻しでしたか?
3回転以上だった場合は燃調が濃いと言えますし、1回転以下だった場合は燃調が薄い方向です。
1回転も3回転も全然変わらないという場合はアクセルを少しでいいので一瞬だけ、ガッ!と回して下さい。
この時にキャブレターが苦しそうになるなら薄い方向です。
濃い場合はパイロットスクリューの番手を今ついている物より小さく、薄い場合は大きくしてください。
番手は大体2.5きざみになっているので今が25なら27.5にしたり22.5にしたりとなります。
STEP2とSTEP3を繰り返して、戻し量が1回転と2分の1〜2回転と2分の1戻しぐらいで安定するところを目指しましょう。
STEP4.走行してみる(低中速域)
ここまででアイドリングから発進ぐらいまでの燃調がだいたい出ているので次は走行してみます。
走行するとなると混合気は濃い方から薄い方へ調整したほうが安心なのでジェットニードルのクリップを1番下の最も濃くなる位置に変えてから調整していきましょう。
アクセルの開き始めぐらいまでは気持ちよく加速していますか?この部分はステップ3までの範囲です。
次にアクセルを半分ぐらい開けるとどうでしょうか?
アクセルの開きに合わせて加速してますか?開きに対して遅れて加速してくるようならクリップ位置を一段上げます。
アクセルの開度に合わせてスムーズに加速するようになるまで走行と調整を繰り返してください。
STEP5.走行してみる(高速域)
最後にアクセル開度2分の1〜全開までのメインジェットの調整です。
ここもやることは同じでメインジェットの番手を3つ〜4つ先に上げます。メインジェットは純正のものは中途半端な数字が多いです。112.3とか。
市販されているメインジェットは100・105・110と5きざみなので、112.3なら115として20・25・30・35で135ぐらいから調整します。
最初から濃い方でセッティングしたのにアクセルを開けてもエンジンが回転しなかったり、回転はしてもパワーを感じられないようならまだ薄いので番手をさらに2つ〜3つ上げてください。
STEP4と同じように遅れて加速するようになったら1つずつ番手を下げていきます。
ただ残念なことにメインジェットのセッティングが出来たと思ったらジェットニードルのセッティングがズレることがあります。
このあちらを立てればこちらが立たずみたいな事の繰り返しはよくあることなので根気よくやっていきましょう。
燃調が上手くいくと低速から高速までしっかりトルクを感じられるようになり、加速もスムーズになっているはずです。
最後に
混合気が薄い場合と濃い場合の特徴を紹介するので参考にしてみたください。
薄い場合
- 走行中にアクセル全閉でアフターファイアが起こる(マフラーからパンパン音がする)
- エンジンは温まっているのにエンストする
- 走行中にアクセルを通常より早く開けると失火してエンストしそうになる
- アイドリング中にキャブレターからシュシュシュシュシュと音がする
- プラグが白く焼けている
濃い場合
- 走行中にアクセル全閉でアフターファイアが起こる *1
- アクセルを開けても加速がついてこない
- キャブレターから破裂音がする(バックファイア) *2
- プラグが真っ黒になっている
*1:アフターファイアは燃調が濃くても薄くても出るので、燃調が合っていないんだという目安です。
*2:バックファイアはかなり危険です!キャブレター内のガソリンに引火する危険性があります。
キャブレターの燃調はやることは難しいことではありませんが突き詰めていって沼にハマることも多いです。
キャブレターの燃調は奥が深く気圧や天候にも左右されるので、燃調の記録をその日の天候と気温を一緒にしてノートに書いておくことをオススメします!
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