【初心者向け】バイクのレギュレーター・ジェネレーターの点検方法と交換時期を解説

メンテナンス

この記事を書いた人:tkc

バイクの運行にはさまざまな部品が関与していますが、その中でも電気系統を司るレギュレーターと電気の源になるジェネレーターは非常に重要な役割を果たしています。

これらの部品が正常に機能しないと、バッテリーの過充電や不足、電装品の不具合、さらには発電不能など、多くのトラブルを引き起こす原因となります。特に急なバッテリー上がりは避けたいものです。

そこで今回は、まだ知識のない初心者の方でも作業ができるよう、デジタルテスターを使ったバイクのレギュレーターとジェネレーターの点検方法を詳しく解説します。

実践!レギュレーターとジェネレーターの点検方法(手順解説)

今回はドラッグスター250を例に点検を行いました。

レギュレーターは、サイドカバーの鍵を開けた内部、バッテリーの隣で後輪側にボルトで固定されています。(※場所が純正品から変更されている場合は、サービスマニュアル等で確認してください。)

点検には、パッと見て数値が分かるデジタルテスターを使用します。導通や電圧・電流を確認するだけであれば、見やすい手頃な価格のもので十分です。

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レギュレーターの点検:電圧の測定

レギュレーターが正常に機能しているかを確認する、もっとも重要な方法が電圧測定です。

ステップ 1: エンジン停止時の電圧チェック

・テスターのダイヤルを直流電圧(DCV)の位置に合わせます。

・エンジンをかけていない状態で、テスターの赤棒(プラス)と黒棒(マイナス)をバッテリーの電極にセットします。

【正常値の目安】

12V車の場合、バッテリーの電圧はだいたい12.6V〜12.8V程度です。13V以上あると異常の可能性がありますが、走行直後は13V以上を示すことがあるため、エンジンが冷えてから測定しましょう。

ステップ 2: エンジン始動時の電圧チェック(充電電圧)

 * 次にエンジンをかけ、アイドリング状態で同様に計測します。

【正常値の目安】

13V〜14V程度になります。バッテリーを充電するには電圧の差(電位差)が必要なため、エンジン始動時は停止時より電圧が高くなる仕組みです。これが15V以上となる場合は、レギュレーターに過度な負担がかかっている状態であり、異常が疑われます。

ジェネレーターの点検:発電と配線のチェック

ジェネレーターの発電状況と配線の状態は、レギュレーターのカプラーを外してチェックします。

カプラーには、赤(バッテリー)、黒(アース/マイナス極)、そしてジェネレーターからの配線である白線3本が刺さっています。この白線3本(A、B、Cと仮定します)をテスターでチェックします。

ステップ 1: 配線の抵抗値(Ω:オーム)チェック

エンジンが切れた状態で、テスターのダイヤルを抵抗値(Ωオームに合わせ、以下の3パターンで計測します。

パターン   テスター 赤棒   テスター 黒棒

①        A         B

②        B         C

③        C         A

【正常値の目安】

3本を測ったとき、それぞれの数値がほぼ同じであれば問題ありません(私のドラッグスター250は7〜8Ω程度でした)。

ステップ 2: 発電した交流電圧(ACV)チェック

次にエンジンをかけ、テスターのダイヤルを交流電圧(ACV)に合わせます。先ほどと同じ3パターンの配線で計測します。

【正常値の目安】

これも計測結果が3本ともほぼ同じ数値(例:15V台など)であれば問題ありません。

【異常が疑われる場合】

3本の計測結果で抵抗値に大きな差がある:配線の劣化や断線が疑われます。

抵抗値はほぼ同じなのに、発電した電圧に差がある:ジェネレーターのコイルの不具合が疑われます。

共通の目視点検・接続部分の確認

テスターでの測定の前に、以下の目視点検も忘れずに行ってください。

安全確認:バイクを安定した場所に停め、エンジンを停止し、必要に応じてバッテリー端子を外します。

ハーネスとコネクタの確認:レギュレーターに接続されているハーネスやコネクタに、損傷や腐食がないか確認します。特に熱による変色や焦げた跡(焼損)がないか注意深くチェックしましょう。

本体の状態:レギュレーター本体に亀裂や変形がないかを確認します。異常が見られる場合は交換が必要です。

接続の確認:ハーネスやコネクタが緩んでいないか、中の端子が錆びていないかをチェックし、確実に接続されていることを確認します。

なぜ重要?レギュレーターとジェネレーターの役割と不具合の兆候

点検の手順を把握したところで、レギュレーターとジェネレーターの具体的な役割と、故障した際に現れる兆候について理解を深めましょう。

レギュレーターの役割と不具合の主な兆候

レギュレーターとは

レギュレーター(正式名称:レギュレーター/レクチファイア)は、ジェネレーターで生成された交流電力(AC)を、バッテリー充電や電装品に必要な直流電力(DC)に変換し、電圧を適切に調整する役割を持つ部品です。

主な役割

電圧調整:バッテリーに流れる電圧を一定に保ち、過充電や過放電(不足)を防ぎます。

電装品の保護:正常な電圧を安定供給することで、ライト、メーター、各種センサーなどの電装品を保護します。

不具合の主な兆候

バッテリーの過充電や不足:バッテリーがすぐに消耗する、または逆に異常に充電しすぎる。

ライトの明るさの変動:ヘッドライトやウインカーの明るさが不安定になる。

電装品の故障:メーターやセンサーが正常に作動しなくなる。

ジェネレーターの役割と不具合の主な兆候

ジェネレーターとは

ジェネレーターは、エンジンの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置です。一般的にオルタネーターとも呼ばれます。

主な役割

バッテリーの充電:走行中にバッテリーを充電し、エンジン始動後の電力消費分を補います。

電装系の電源供給:ライト、ウィンカー、メーターパネルなどの電装系に電力を供給します。

不具合の主な兆候

より頻繁なバッテリー上がり:バッテリーが十分に充電されず、上がる頻度が増える。

エンジン警告灯の点灯:バイクのインジケーターに充電異常を示すランプが点灯する。

ライトの明るさの変動:ライトが通常より暗くなったり、明るくなったりする。

走行中の異音:ジェネレーター内部の部品の不具合により、異音が発生する。

まとめ:異常が見つかった場合の対処法と日頃のメンテナンス

バイクのレギュレーターとジェネレーターは、電装系の安定性を保つために欠かせないパーツです。定期的な点検を行うことで、故障やトラブルを未然に防ぐことができます。

異常が見つかったら?

抵抗値や電圧に異常が見つかった場合は、配線の劣化やジェネレーターコイルの不具合が考えられます。特に初心者の方は無理に自分で交換しようとせず、速やかに専門のお店(バイクショップ)に持ち込むことをおすすめします。

レギュレーターの異常による過充電や不足は、最悪の場合、バッテリーの破裂や走行不能につながります。兆候が見られたら放置せず、適切な対応を行いましょう。

長持ちさせる秘訣:熱対策

レギュレーターは、ジェネレーターから来る電気を調整する際、余った電気を熱として発散するため、走行時はかなりの高温になります。

ドラッグスター250のレギュレーターには冷却用のフィンが付いていますが、初期のモデルは熱に弱かったという情報もあります。現在ご使用のものが、熱対策品の四角い形状か、対策前の丸い形状かを確認し、必要に応じて対策品の導入も検討してください。

定期的なメンテナンスが愛車の快適な走行と長持ちの秘訣です。忘れずに行って、安全で楽しいバイクライフを維持しましょう!


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