普段何気なく乗っているバイクも、タイヤが磨耗してくると安全性や操縦性に影響を及ぼすため定期的なタイヤ交換が必要です。
そういう私も低速での軽いハンドルのブレ(シミー現象)に悩まされた時期があり、タイヤが原因になるという話を聞いて交換したところブレを直すことが出来ました。
しかし、「どうやって交換するのか?」「何に気をつければ良いのか?」と、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者の方にも出来るだけわかりやすくタイヤ交換の手順と注意点を説明します。
タイヤ交換の必要性
まず、バイクのタイヤは地面と接地する部分であり、ライダーの安全に直結しています。タイヤが磨耗すると以下のような問題が発生します。
グリップ力の低下:摩耗したタイヤは雨天時やカーブでのグリップが悪くなります。
制動距離の延長:タイヤの溝が減少するとブレーキの効きが悪くなり事故のリスクが高まります。
安定性の喪失:摩耗したタイヤは直進性や操縦性が悪化し、より危険な状態になります。
タイヤ交換は、これらのリスクを回避するために非常に重要です。
タイヤ交換に必要な道具
タイヤ交換にはいくつかの道具が必要です。以下のリストを参考に準備を整えましょう。
ジャッキ:バイクを持ち上げるために必要です。
ソケットレンチ・ヘキサゴンレンチ・メガネレンチ:ボルト・ナットを扱うための工具です。
タイヤレバー:古いタイヤを外すときや新しいタイヤを装着する際に使います。
エアポンプ:タイヤにエアを入れるために必要です(足で踏むタイプで圧力計付きの物が良いです)。
タイヤクリーム:タイヤのビードをスムーズに上げるために使います。
グリス:シャフトに塗ってサビや傷を防ぎます。
サービスマニュアル:バイクによって手順などが異なるので確認のために手元にあると安心です。
準備が整ったら、いよいよタイヤ交換の手順に入りましょう。今回はドラッグスター250のフロントタイヤを交換します。
作業開始
まずはバイクを平坦な位置に移動させてジャッキアップ。フロントを浮かせるのでステップとサイドスタンドの間がいいでしょう。
ジャッキアップしている最中は車体が不安定になるので、しっかりとジャッキに車体が乗って垂直になるまでは支えながらあげましょう。
ここでは車体が乗ったところから更に少しだけ上げる程度にしてフロントタイヤは浮かせません。
タイヤを外すためにスタビライザーとメーターケーブルを外します。
ブレーキキャリパー本体は少し外しづらいので過去記事の『ディスクブレーキパッド交換』を参考にしてください。
純正フロントフェンダーは内側に固定ボルトがあるので10のメガネレンチを使います。
ジャッキアップしてますがボルトやシャフトを緩める時はタイヤがしっかり接地している方がやりやすいです。
シャフトを抜くために、まずはキャリパー側フォークの前面にあるキャップボルトを緩めます。
使う工具は6㎜のヘキサゴンレンチ。
シャフトは19のソケットレンチを使う方がフォークを傷付ける心配がないです。
シャフトを少し緩めたらジャッキを少しあげてシャフトが外れた時に負荷がかかりすぎないようにします。シャフトを軽く回せるぐらいまで上げるといいでしょう。
シャフト・カラー・メーターギヤは古いグリスを除去。フロントホイールハブの方も古いグリスは拭き取っておきます。写真にはスーパーゾイルが写ってますが、この部分のグリスは
タイヤを外すために中の空気を抜きます。
チューブバルブのキャップを外すと中にピンがあるので爪楊枝でもなんでもいいのでピンを押します。
中の空気が抜けていくとタイヤ自体からミシミシミシみたいな音がしますがビードが緩んでいってる音です。
空気が抜けたらタイヤの側面を押さえつけてやるとビードが落ちるので両方とも落としましょう。
タイヤレバーを使って片側(私はキャリパー側に外す方がやり易いです)を外したら、チューブバルブをリムの中に押し込み、タイヤとリムの隙間からチューブを抜き取ります。
チューブを抜き取ったらこんな感じでタイヤの1/5周ぐらいがリムの上に乗っかれば手でグイグイ外せます。
前回も錆びが発生していたので錆を落として錆止めになるかと思って軽く塗装してあっても何故か毎回錆びてくる部分です。
錆はワイヤーブラシで擦ってから錆転換剤(赤錆を安定した黒錆に変えるやつ)を塗っておきました。次回も錆びていると思うので次はローバルという亜鉛を含んだ塗料を使ってみます。
リムバンドは25ミリ幅。
次は新しいタイヤをはめていきます。
タイヤ自体は日の当たるところで温めておいて、ビードワックスをタイヤの内端から細い出っ張りのある部分(指で挟んでるところ)までしっかり塗ります。
とりあえず片側を入れました。
入れる時にタイヤの回転方向がタイヤのサイドに矢印で書いてあるので間違えないように。
タイヤのサイドのどこかに黄色い丸印(これは「軽点マーク」といってタイヤの1番軽い部分に付けられます)が書いてあるので写真のようにリムに空いている穴とだいたい同じ位置にしておきます。
位置を大体合わせたらまだビードがリムに入っていない方からチューブを滑り込ませます。
チューブバルブを先にリムから出した方が作業し易いので、リムの穴からバルブを出して中に戻ってしまわないようにナットで軽く締めておきましょう。
チューブが全てタイヤ内に収まったら空気入れを使ってチューブを膨らませます。
いったんはチューブが張るぐらいまで空気を入れてからチューブバルブのピンを押して、シューーっと音がしなくなるまで空気を抜く。
そうすることでタイヤレバーを使ってる時にリムとタイヤレバーにチューブが挟まれて穴があくということがかなり防げると思います。
タイヤレバーを使いながら膝でタイヤのサイドを押さえてタイヤをリムの中に入れていきます。
今までは失敗したことはありませんが毎回緊張する作業です。
タイヤがリムに収まったら空気を入れてビードをあげましょう。
ビードが正しく上がると写真のようにリムとタイヤの細いラインとの幅が均一になります。規定の空気圧よりも高く入れないとビードが上がらないため、ビードが上がったら規定値まで圧力を下げましょう。
タイヤが完了したら外したシャフト・カラー・メーターギヤにグリスアップして組み込めば完了です。
最後に
バイクのタイヤ交換は見た目以上に手間がかかりますが、しっかりと手順を守って行えば誰でも行える作業です。
タイヤは安全なライディングのために非常に重要なパーツです。定期的に点検し必要に応じて交換することでより安心してバイクライフを楽しむことができます。
是非このガイドを参考にして自分の手でタイヤ交換に挑戦してみてください。
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