昔はバイクパーツのお店に行くといろんな形のハンドルが売ってたけど今は純正に近い形の物しか売ってませんね。
エイプハンガーやシックスベントなんて全く見なくなりました。
リアサスやシートを社外品に換えると乗車姿勢が変わってくるので、純正ハンドルの角度を変えても理想の位置に出来ないようならハンドルを社外品に換えてみるのもいいでしょう。

ドラッグスター250で使っているこのハンドルはZバーと言われるハンドルで、これはこれで気に入ってますがグリップの間が狭いので握るとほんの少し手首が内側にきます。
なのでグラストラッカーの方はもう少し楽に握れる物にしたい。
しかしそんな理想に沿うようなハンドルはなかなか売ってません。でも手に入れる方法があるんです。
そう自作ならね。
作業手順
STEP.1 どんな形がいいか考えよう
今回のハンドルに盛り込んだのは
- ハンドルポストにくる部分は極力短く
- グリップ位置はシートに座った時にだいたい肩と同じぐらいの高さ
- グリップ間は狭いけど手首に負担がかからない距離に
- グリップ部分は握った時に手首を動かさなくてもいいぐらい自然な感じでプルバックさせる
- 配線とアクセルワイヤーに負担が掛からないようにポストより上は溶接で繋がず手曲げする
この5点。とにかく楽に握れるハンドルがコンセプト。
STEP.2 図を書く
図を書くといってもきっちりした物じゃなくて曲げる部分にどのぐらいのRをつけるのかとか、長さや高さを図にすることで視覚として良いか悪いかを判断しやすくするためです。
1番下からハンドルポストで挟む部分の長さや立ち上がりの高さ、何度の角度で内側に入れるのか、そこから何Rで曲げて外に出すか。というのを書きました。

STEP.3 材料の切断
材料は機械構造用炭素鋼鋼管(STKM11A)というパイプの外径22.2ミリで厚みが1.6ミリの物を使います。
ホームセンターではほとんど見かけないのでネットで購入しましょう。私は会社で取引のある鋼材屋さんに発注してます。
切断する長さは書いた図からだいたい30センチぐらい長く切りました。
計算して出すことも出来るんでしょうが計算方法を検索することが面倒だったのと、手曲げするのにガストーチで熱をかけるので、ちょうどの長さじゃ持つ部分が熱くなりそうだから長く切っておいてあとで長さ調整しちゃえばいいかと。

STEP.4 治具の製作
初めて手曲げに挑戦するのに綺麗なRをつけるなんて無理だと思うので治具を作りました。
治具のパイプとストッパーの間にハンドルパイプを置きます。
パイプが動かないようにストッパーに工具で固定し、Rをつけたい部分をガストーチで熱しながら治具のパイプに巻き付けるようにハンドルパイプを押して曲げる。という使い方です。
治具を作ったけど実際に使った時に不具合があったので赤い線の部分でカットしました。

STEP5. パイプに砂を詰める
パイプを機械で曲げるならそのままでいけるらしいけど、手曲げする場合はパイプが潰れないように中に砂を詰めます。
詰める量はまずパイプの端の片側に栓(木の破片で可)をして、砂を入れたら栓を下にしてトントンとパイプを叩くか、栓を下にして栓を地面にコンコン当ててやると僅かにあった空間に砂が詰まっていって端に見える砂が少なくなります。
そうしたらそこに砂を補充してまたトントンする繰り返し。
砂の量が減らなくなったら栓で塞げるギリギリまで砂を詰めて栓をします。
STEP6. 曲げてみる
パイプを治具に固定してバーナーで炙っていきましょう。
初めてパイプを曲げるのに感じたのはRをつけたい内側部分の5〜10ミリぐらい後ろの外側を炙ってやるのがいい感じ。
パイプの端を持って曲げる外側を炙りながら治具のパイプに巻き付けるようにゆっくり力を入れて、曲がり出したら炙る位置も少しずつずらします。
中に砂を詰めていても多少は潰れてしまうようだけど、そこをできるだけ潰さないようにしたいので少し曲げては炙るのをやめて熱せられて赤かったパイプが少し冷えたらまた炙って曲げてを繰り返しました。

こんな感じで左右とも曲げ終わり。
初めてにしてはいい感じに出来ました。
STEP7. 溶接する
これを組み合わせて溶接します。

ポストからグリップ位置までがすごく長いのは手で持つ部分が熱くなるのは嫌だなってことで長くなってます。
気を付けるのは歪みを直しながら溶接すること。
固定出来るようなら固定して溶接するのが1番いいけど、そういった物がないので溶接した後で最終的に左右が対象になっていればいいんです。
STEP8. 塗装する

まずはポストにハンドルを取り付けてグリップ位置を確認したら要らない部分をカット。
塗装はサフェーサーとアクリルラッカーの艶ありブラックを使用しました。
普通のスプレー缶なので錆が出てしまったり色褪せたりがあるのでどうしても綺麗な物がいい場合は焼き付け塗装を検討してもいいでしょうね。
最後に
STEP5でパイプの中に砂を詰める。と書きました。
砂を詰めるのにサラサラの状態ならそれでいいかな。と思って適当に詰めたのが失敗。

もしかしたらどんなことをしてもそうなのかもしれませんが、砂の中の何かがバーナーの熱でガラスのように結晶化してパイプの内側にくっ付いてしまいました。
パイプの口から見える部分はなんとか取り除くことができたものの、見えない部分はどうしようもないので小さいナット等を入れてガラガラ振って破片が少なくなったところで諦めました。
パイプの手曲げでは良質な川砂を使うのが良い。とされてるので川砂ならくっ付かないのかも。
なんにしても初めてのパイプ曲げは一応上手く出来た方だと思います。
初めての作業でも今はネットで情報収集が出来るので自分だけのハンドル製作も面白いと思いますよ。
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