自分だけのバイクを創り出す贅沢
自分自身で愛車をデザインし、手を動かして作り上げ、そしてその成果に乗る。
これほどまでに贅沢で、心踊る体験は他にないでしょう。
これまで私はフラットフェンダーやサイクルフェンダーといったスタイルが主流で、カフェやスポーツタイプのような流麗なシートカウルには縁がありませんでした。
グラストラッカーのカスタムプロジェクトでは、ドラッグスター250では挑戦しなかったカスタムをやってみよう!というコンセプトを第一に掲げて進めています。
そこで今回はシートカウルの自作に挑戦することにしました。
シートの形状の決定と試行錯誤

作業の第一歩は、シートカウルの製作に先立ち、シートの具体的な形状を決めることでした。
フレームのラインに合わせて紙で型紙を作り、イメージを具体化させていきます。
頭の中にはキング&クイーンシートの前半分だけ、ガンファイターシートの後部がないスタイルのシートを描いています。

紙を切り貼りしながら試行錯誤を重ねる中で、シンプルなソロシートとは違って、シートに立ち上がりがあるデザインのため、「ホントにうまく作れるのか?」という不安がよぎったりもしました。
シートカウルより先にシートのデザインを決めているのは、シートカウルを先に作ってしまうとシートの形状に制限ができてしまうんじゃないか?と考えたからです。
バイクの見た目だけじゃなくシートの座り心地も重視したかったのでシート形状を先に決めました。
鉄板加工とシート座の製作

まずは1.6㎜厚の鉄板をシートの型紙に合わせてカットし、曲げ加工を施してフレームに仮組みしてみました。
この時点では、なかなか良い感触です。

製作過程では試行錯誤が続き、夢中になるあまり写真を撮り忘れて気付けば形になっていましたが、上の写真でシート鉄板の下にわずかに見えてる部分が、このシートカウルの座になります。
最終的なイメージはシートカウル座にウインカーとテールランプを埋設させる部分を溶接取り付けします。

こんなイメージで進めてます。
シートカウルの取り付けは3箇所のボルト止めでしっかりと固定する設計にしました。
溶接と塗装の調整

これは加工前のシートカウルの座ですが、前側は一箇所のボルトで固定し、後側はカウル座にボルトを溶接し、フレームの下からナットで固定する方法を採用しました。

せっかくウレタン塗装まで施しましたが、カウル座の形状が当初の予定と少し変更になったため、ステーの位置を調整する必要が生じました。
溶接の邪魔になる部分はカップブラシで塗装を一部剥がしてから作業を行います。

シートカウルの座をセットして仮付けして溶接する際、周囲の塗装が浮き上がってボコボコになるので浮いてる部分は剥がして再塗装します。
ウレタン塗装の上に再度ウレタンを重ねるとシワになる可能性があるため、この部分は錆止めと本塗装のみの簡易塗装で対応しました。

再度溶接を行い、剥がした塗装の跡が残っているのは少し心残りですが、まずは走行可能な状態にすることを優先しました。
この状態で一旦乗り、将来的にはフレーム全体のサンドブラストと焼き付け塗装することを検討しようと思います。

ボルトで固定できるようになったようカウル座に、残りのシートカウル部分を製作していきます。
カウルとタイヤのクリアランス問題

これまでのカスタムではスイングアームにフェンダーを固定し、タイヤとのクリアランスを極限まで狭くしていました。
しかし、今回はフレーム固定となるため、リジットフレームではないグラストラッカーの場合、走行中のサスペンションの沈み込みを考慮すると、タイヤとのクリアランスの確保が非常に難しい課題になりました。
見た目のクリアランスはあまり広げたくない一方で、段差でカウルとタイヤ接触してタイヤが削れたりカウルが変形するのも避けたい。しかし実際の走行でどの程度サスペンションが沈み込むのか正確に把握できないため、今回は気持ち広めのクリアランスに設定しました。
もしクリアランスがどうしても気になるようであればリジットフレーム化、もしくはリジットサスペンションの取り付けも視野に入れています。(後日リジットサスペンションを製作取り付けしました。製作過程)
当初はフラットな形状でしたが、わずかでもクリアランスを確保するために中央部分を盛り上げる形状にしました。

初挑戦にしては上出来!
初めてのシートカウル自作にしては、なかなかの出来栄えになりました。
あとはパテで表面を整えて塗装すれば完成です。
一点、これだけ短くて低いシートカウルでは、泥除けとしての効果はほとんど期待できないでしょうね(笑)
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